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国民健康保険・社会保険について

健康保険検討委員会について

ペインクリニック領域の保険診療・診療報酬体系にかかわる点を検討し、ペインクリニック・痛み診療の発展が、より多くの患者さま(国民)に寄与できることを目的としています。
保険診療は、医科診療報酬点数表に基づいていますが、医療技術は、日々進歩・変遷していています。当委員会では、医療技術の進歩、医療へのニーズに見合った治療内容や新規技術が公的に認められ、多くの患者さまにとって福音となるべく活動しています。
具体的には、以下のような活動を行っております。

麻酔科学会や痛み関連学会と連携を持ちつつ、外科系学会社会保険委員会連合(外保連)を通じて上記目的を達成するために厚生労働省に働きかけています。
医療技術の進歩、医療へのニーズに変化に伴い、治療方法、治療薬の適応や使用方法等を見直さなければならないこともあります。薬剤の適応や使用方法の適正化を検討して公に示しつつ厚生労働省にも申請を行っています。
適正な保険診療が実施されることを推進すると共に、各医療機関からの適切な診療報酬明細書が提出されることを啓発しております。
診療報酬明細書は毎月審査されますが、医科診療報酬点数表の解釈には、審査員や地域によって差異が生じています。その格差の更正も目指しています。
学術集会では、委員会企画などを通して適正な保険診療・診療報酬体系についての教育・啓発を行い、審査員・地域格差などの情報を共有し解決できうることを模索しています。

2024(令和6)年度診療報酬改定に向けて以下の項目について要望書を提出いたしました。

新設

(1)
脛骨神経ブロック
(2)
腓骨神経ブロック
ランドマーク法が主流であった頃は坐骨神経ブロックを行うことが多かったが神経遮断される領域が広く運動機能が障害されるため患者の負担も大きかった。近年超音波ガイド下での神経ブロックが主流になると分枝した神経を個別にブロックできるようになり運動機能を温存できるようになった。また脛骨神経ブロック,深腓骨神経ブロック,浅腓骨神経ブロック,伏在神経ブロック,腓腹神経ブロックで構成されるアンクルブロックを行うことで足部の手術が可能であり術後鎮痛にも有用である。効果や安全性を考え,診療報酬 神経ブロックの項に脛骨神経ブロックを認めていただきたい。
(3)
伏在神経ブロック
伏在神経ブロックは、下肢の痛み症状に効果が高く、超音波ガイド下に安全に施行可能である。しかし、トレーニングによる熟練と、超音波装置、刺激用電極付きブロック針などの道具を要するため、保険収載により経済的な基盤を必要とする。また、脛骨神経ブロック,深腓骨神経ブロック,浅腓骨神経ブロック,伏在神経ブロック,腓腹神経ブロックで構成されるアンクルブロックを行うことで足部の手術が可能であり術後鎮痛にも有用である。効果や安全性を考え,診療報酬 神経ブロックの項に伏在神経ブロックを認めていただきたい。
(4)
慢性疼痛リハビリテーション料
組織損傷が治癒してもなお持続する慢性疼痛に対する治療として、心理療法や教育と組み合わせた集学的運動療法の有効性のエビデンスは高い(慢性疼痛治療ガイドライン2018、腰痛診療ガイドライン2019、慢性疼痛診療ガイドライン2021)。多職種による集学的治療を行う「痛みセンター」における慢性疼痛リハビリテーションを保険収載することで、通常の治療では効果が見られなかった難治性の慢性疼痛患者にエビデンスのある有効な治療を提供することができるようになる。
(共同提案:主学会 運動器疼痛学会)

改正

(1)
L100にあるがL101にない神経ブロックのパルス高周波法適応(腕神経叢・深頸神経叢・肩甲上・肩甲背・筋皮・腋窩・正中・尺骨・橈骨)
神経ブロックには、局所麻酔薬を用いるもの(局麻薬ブロック)、神経破壊薬もしくは高周波熱凝固による神経破壊を伴うもの(神経破壊ブロック)、PRFがある。PRFは神経組織を破壊することなく長期間の鎮痛効果を示し、副作用も少ない。L100で認められた神経ブロックのうち、腕神経叢・深頸神経叢・肩甲上・肩甲背・筋皮・腋窩・正中・尺骨・橈骨ブロックはL101で認められていないが、PRFは、これらの神経ブロックにおいても、組織を壊死することなく安全に長期間の鎮痛効果を得る事が期待できる。
(2)
椎間板内酵素注入療法に対する施行医師技術の適応拡大
椎間板内酵素注入療法は適正使用ガイドを遵守し実施した場合に算定できる。2022年8月にPMDAの承認・合意のもとに当初公表予定であった適正使用ガイドが改めて公表された。その適正使用ガイドには、日本脊椎脊髄病学会、日本脊髄外科学会、日本ペインクリニック学会と日本IVR学会の医師・施設要件が明記されている。一方、2022年診療報酬改定:厚生労働省医療課から通知されている施設基準では、整形外科と脳神経外科に、関係学会では日本脊椎脊髄病学会と日本脊髄外科学会に限定されており、適正使用ガイドと異なり、矛盾・齟齬が生じている。そのため再評価をお願いしたい。

【内保連経由の共同提案】

新設

(1)
運動器の難治性慢性疼痛における集学的治療に対する慢性疼痛管理加算
運動器の慢性疼痛患者では、薬物療法をはじめとする一般的な治療が奏功しないことが少なくない。医療機関では、薬物療法や物理療法を漫然と続けられていることが多く、費用対効果の観点から慢性疼痛治療を見直す必要がある。慢性疼痛診療ガイドライン(2021年)でも、慢性腰痛をはじめ慢性疼痛全般に対して集学的治療が推奨されている。しかし、集学的診療には、多大な人的負担を強いられる一方、それに対する報酬はなく、実施可能な医療機関が限られ不足している。集学的治療を実施する医療機関を増やすことが課題であり、本治療の保険収載が必要である。
(共同提案:主学会 日本腰痛学会)

改正

(1)
慢性痛に対する認知療法・認知行動療法
慢性疼痛は腰痛、関節の痛みなど多岐にわたり、原因の特定が困難な場合が少なくない。効果の乏しい治療が漫然と行われ、治癒しないだけでなく医療費の増加にもつながっている。認知行動療法は痛みのセルフケアにつながり、効果があるだけでなく副作用の危険がない上、長期的には医療費の大きな削減にもつながるため慢性の痛みには非常に優れた方法である。ただし、慢性疼痛診療ガイドラインにも記載されているが、我が国では認知行動療法を実施する体制が整っていない。実施するには研修システムを構築し、実施できる医療者の育成が必要である。これらを促進するためには、まず保険収載されることが前提となる。
(共同提案:主学会 日本心療内科学会)
(2)
難治性片頭痛に対する認知行動療法
片頭痛の認知行動療法は、既存項目であるうつ病や神経性過食症と同様の技術と片頭痛に特化した技術を要し、実施回数および時間も長い。認知行動療法マニュアルが作成され、講習会も実施されており、治療技術が担保されている。以上から、難治性片頭痛に対する認知行動療法は、既存適応疾患であるうつ病・不安症・神経性過食症と同様の評価が妥当と判断する。
(共同提案:主学会 日本頭痛学会)

ペインクリニック学会として会員の皆様にとってプラスになるような申請内容を考慮しています。会員の皆様でご要望などありましたら、事務局にご連絡ください。
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