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特殊療法(その他の治療)
 ペインクリニックでの主な治療は神経ブロック療法ですが、その他多くの特殊治療があります。手術療法から低侵襲のものまで、多彩な治療が行われています。それぞれの利点と欠点をふまえて適切に行えば、患者さんに安全、かつ有効な痛みの治療を提供することが可能となります。
 ペインクリニックで行う特殊療法としては、以下のようなものがあります。
特殊治療
胸腔鏡下交感神経遮断術
全身麻酔下に胸腔鏡を用いて交感神経幹を直視下に遮断する方法です。主な対象疾患は痛みの疾患ではなく、原発性手掌多汗症です。精神的緊張による発汗が停止しますが、手術後の代償性発汗を十分に説明した上で行うことが重要です。
硬膜外内視鏡(エピドラスコピー)による神経剥離術
腰下肢痛の治療として臀部の仙骨裂孔から細径の内視鏡を挿入し、内視鏡の外套にあたるカテーテルで癒着を剥離したり、生理食塩水で洗浄したりすることにより疼痛を改善させる治療です。
脊髄電気刺激療法
脊髄の後索を電気刺激することによって除痛効果を得る方法です。硬膜外腔に電極を挿入して試験刺激を一定期間行い、除痛効果が得られれば刺激装置を体内に埋め込み、患者自身が必要に応じて電気刺激のオン・オフができるようにします。
電気痙攣療法
電気痙攣療法は、全身麻酔下に頭部へ約100ボルト・5秒間通電して人工的に痙攣を起こし、除痛をはかる治療法です。幻肢痛や視床痛、帯状疱疹後神経痛などの中枢性疼痛に有効な例が報告されています。
経皮的椎体形成術
椎体に骨セメントを注入して椎体を形成し、痛みを改善させる方法です。転移性椎体腫瘍や難治性の骨粗鬆症に対して行われます。
椎体・骨減圧術(写真:椎体・骨減圧術)
疼痛の原因となっている椎体や大腿骨などの骨髄に穿刺針を挿入し、減圧することにより除痛をはかる治療法です。
脳神経外科における手術療法
大脳皮質運動野刺激法、脳深部刺激法、脊髄後根進入部破壊術(DREZ)、微小血管減圧術、ガンマナイフなどがあります。
その他の特殊治療/侵襲的なもの
局所静脈内ステロイド治療法
一定時間駆血した上肢や下肢に、あらかじめ確保した静脈路から局所麻酔薬とステロイドを注入する方法です。四肢に生じた複合性局所疼痛症候群や帯状疱疹後神経痛の治療に用いられます。
脊髄くも膜下ステロイド注入法
難治性の帯状疱疹後神経痛に対する治療として局所麻酔薬とステロイドを脊髄くも膜下腔に注入する方法です。
椎間板凝固術(IDET)・椎間板形成術(Nucleoplasty)
椎間板や椎間板内の神経を高周波熱凝固法を用いて変性させ、椎間板が変性・収縮し安定化することと、椎間板由来の疼痛の改善を期待して行われる治療です。
経皮的髄核摘出術(APLD)
椎間板の髄核にカテーテルを挿入し、洗浄しながらカッティングを行う治療法で、椎間板が変性・収縮し安定化することを期待して行われます。
鍼治療
鍼治療は身体の特定の経穴という部位に細い針を刺す伝統的医術で、約5000年前から行われています。合併症の少ない疼痛治療の一つとして、また、近年注目されている補完療法や代替療法の一つとして、有用性が検討されています。鍼治療の奏効機序については、経穴刺激が脳の特定部位を活性化させることなどが考えられていますが、不明な点も多く今後の検討が必要です。
その他の特殊治療/非侵襲的なもの
経皮的電気刺激療法
知覚を伝える線維(Aβ線維)を刺激することにより除痛する方法です。疼痛部位、もしくは疼痛に関連した部位に電極を装着し、刺激器で電気刺激を行います。SSP療法という,Silver spike point(SSP)という電極を皮膚に当てて刺激する方法も電気刺激療法のひとつです。
低反応レベルレーザー治療
レーザー治療のうち、単一の波長のレーザー光の光作用を利用して鎮痛する方法で半導体レーザーとHe-Neレーザーが用いられています。痛みや副作用がほとんどないため、神経ブロックの代替治療としても有用です。悪性腫瘍以外の疼痛疾患に広く利用できます。
光線療法
直線偏光近赤外線やキセノン光を照射する治療があります。複数の波長の光を用いており、光作用と熱作用により効果を示すと考えられています。低反応レベルレーザー治療と同様に用いられます。
イオントフォレーシス
体表面の2点間に電極間に電流を流して電位勾配を与え、イオン化させた薬剤を局所的、かつ無痛的に経皮吸収させる治療法です。局所麻酔薬やステロイド、非ステロイド性消炎鎮痛薬などを深部に到達させることができるため、疼痛疾患では帯状疱疹後神経痛が代表的で、その他、虚血性病変や多汗症の治療、抗がん剤の投与などにも応用されています。
経頭蓋磁気刺激療法
磁気刺激用のコイルを頭部に当て、磁気刺激を反復して行うことにより大脳皮質ニューロンを刺激する除痛法です。大脳皮質運動野刺激療法を非侵襲的に行う方法と考えられており、難治性の求心路遮断痛が対象となります。