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薬理学的疼痛機序判別試験
 薬理学的疼痛機序判別試験とは痛みがどのような機序で起こっているのかを調べるための検査です。これまでドラッグチャレンジテスト(drug challenge test: DCT)という用語でも広く使われていました。薬理学的疼痛機序判別試験で使用する薬物は主に(1)α受容体遮断薬:フェントラミン、(2)静脈麻酔薬:チアミラール、(3)局所麻酔薬:リドカイン、(4)静脈麻酔薬:ケタミン、(5)医療用麻薬:モルヒネの5種類です。これら5種類の薬物はのうちモルヒネ、リドカインは痛みの治療に用いられますが、そのほかの薬も本来鎮痛薬には分類されていませんが鎮痛作用を現し、その除痛機序もわかっています。すなわち、どの薬物が効くかがわかればどのような機序で痛みが起こっているのかがわかるわけです。そして、痛みの発現機序があるていど推察できれば、DCTで効いた薬と同じ鎮痛作用を有する薬物、同じ作用をもたらす鎮痛手段を用いることになります。その詳細を表1に示しました。
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 次に薬理学的疼痛機序判別試験の施行方法について簡単に述べておきます。詳細は図1に示しました。
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 使用する薬物は1日に1薬物とします。痛みの評価法は現在の痛みを10としてこれから薬を投与して痛みがいくつになったかを患者さんに言ってもらうpain relief scoreを用います。まず、静脈路を確保します。次に生理食塩水を試験薬剤と同量投与します。投与後1分、5分の時点でのPRSを聞きます。次に試験薬剤を投与しますが、ここではモルヒネテストとリドカインテストについて説明します。モルヒネテストでは1回のモルヒネ投与量は3mgで3回投与します(チアミラール、ケタミン、フェントラミンの場合も同じ回数投与します)。投与後1分、5分の時点でのPRSを聞きます。もしもPRSが低下しているのであれば3回目のモルヒネを投与してPRSを聞いた後に、モルヒネの拮抗薬であるナロキソン0.2mg投与して痛みが再燃するかどうかを確認します。リドカインテストではリドカインを1mg/kg静脈内投与した後、1mg/kgを30分間で点滴し、この間のPRSを聞きます。判定基準はPRSが0〜2に低下した場合を強陽性、3〜6に低下した場合を強陽性、7〜9にとどまった場合を擬陽性、10のままの場合を陰性と判定します。
 しかしながら、痛みの発現機序はこれら5種類の薬物ではすべてを解明できないほど複雑で、複数の機序が重なり合って複雑な痛みを起こしている場合もあり、薬理学的疼痛機序判別試験でも痛みの機序を解明できない場合もあります。すなわち、薬理学的疼痛機序判別試験を行えば痛みの機序の解明はパーフェクトに行えると思ってはいけません。薬理学的疼痛機序判別試験では解明できない痛みもあり、そのような場合には治療方法もなかなか決めることができないことを認識しておく必要があります。
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