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痛みを持つ患者の診察法
 痛みを持つ患者を診察する時に、まず、痛みの原因となる疾患が何か、また原因疾患が明らかな場合には、どのような種類の痛みを患者が持っているのかを診断していけるように、診察をすすめていきます。
1. 一般的な留意点
痛みを持っている患者の中には、触られると痛い、動かすと痛い、といったような診察に対する恐怖心もあるため、前もって「触って大丈夫ですか」「すこし曲げてみますが、痛ければ言って下さい。無理はしません」など、言葉でがけをして、診察の目的のために触れたり動かしたりする必要のあることを伝えておきます。また「痛みがあって大変ですね。」と患者の持つ痛みに対する理解を示しながら、信頼感のもとに診察を進めていきます。
2. 問診
痛みの治療を開始する上で、問診は、非常に重要なポイントを占めています。
1) 痛みの問診
 
1. 痛みの部位:どこが痛いですか?
 
2. 痛みはじめの時期:いつから痛いですか?
 
3. 痛みの誘因・原因:きっかけは何ですか?
 
4. 痛みの性状:持続痛 間欠痛(突発痛 体動時痛など)
 
5. 痛みを言葉で表現(図1):ジクジクした鈍い痛み ズキズキした痛み、電気が走る痛み、針に刺されたような痛み、など
 
6. 痛みの強さ:痛みはあるが自制内、痛みで動きが制限される、痛みで夜も眠れない、など。具体的な強さの評価に関しては、痛みの評価を参照。
7. 痛み以外の随伴症状:しびれ かゆみ 冷感、熱感など
2) 今回の痛みに関する既往歴:受診・検査結果の内容、受けた治療など
3) 痛み以外の問診
・職業
・趣味
・既往歴
・家族歴
・薬物歴
・アレルギー歴
・嗜好品
3. 理学的所見
視診、触診、打診の他に、神経学的所見を診ることが必要です。
1) 他覚的な神経学的所見
知覚・運動神経機能、反射など神経学的所見から、他覚的に神経機能に異常が認められないか否かを調べます。
特に脊椎疾患や神経疾患から生じていると考えられる痛みに対しては必須となります。
2) 皮膚の知覚異常の有無
特に神経障害性疼痛においては、以下の症状を合併する疾患が多く認められます。したがって、温冷覚や触覚が正常に働いているかを、調べなければなりません。知覚の低下以外に、通常の刺激を痛みと感じてしまう、触ること自体が痛みと感じてしまう、風が吹いても痛い、ドアを閉める振動でも痛みを感じる、などの知覚異常の有無を調べることも必要です。
 
1. 知覚低下
 
2. 知覚過敏
 
3. 異痛症(アロデイニア)
3) 皮膚や筋肉の性状についてのチェックポイント
 
1. 皮膚の色調に異常や左右差はないか?
2. 患部と健常部で温感差はないか?
3. 浮腫は生じていないか?
4. 筋萎縮は認められないか?
4. 検査的所見
 
問診と理学的所見から、鑑別診断のための検査(急性炎症、骨折、腫瘍)や、脊椎疾患や血管性病変の確定診断のために、血液検査や画像診断を必要とすることがあります。
1)血液学的検査
2)画像検査:単純X-P MRI(骨シンチ) 血管撮影
3)サーモグラフィー
画像検査:MRI
図1:短縮版McGill痛み質問表(日本語版)
過去1週間のあなたの痛みを評価して下さい。(全項目に必ず1つチェックして下さい)
まったくない いくらかある かなりある 強くある
1. ズキンズキンと脈打つ痛み
0 1 2 3
2. ギクッと走るような痛み
0 1 2 3
3. 突き刺されるような痛み
0 1 2 3
4. 鋭い痛み
0 1 2 3
5. しめつけられるような痛み
0 1 2 3
6. 食い込むような痛み
0 1 2 3
7. 焼け付くような痛み
0 1 2 3
8. うずくような痛み
0 1 2 3
9. 重苦しい痛み
0 1 2 3
10. さわると痛い
0 1 2 3
11. 割れるような痛み
0 1 2 3
12. 心身ともにうんざりするような痛み
0 1 2 3
13. 気分が悪くなるような痛み
0 1 2 3
14. 恐ろしくなるような痛み
0 1 2 3
15. 耐え難い、身のおきどころのない痛み
0 1 2 3
Yamaguchi M, Kumano H, Yamauchi Y, Kadota Y, Iseki M: The development of a Japanese version of the short-form McGill Pain Questionnaire. JSPC14: 9-14, 2007.
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